相談における
コミュニケーションスキル
傾聴[臨床心理士試験用語]とは、ただ相手の話を「聞く」だけでなく、心を込めて「聴く」ことです。相手の気持ちや考えをしっかり受け止めることで、安心感を与え、信頼関係を築くことができます。
傾聴は、人間関係を良くするためにとても役立つのです。傾聴には、相手が話した内容を繰り返して確認する「リフレクション」や、相手の感情に寄り添うことが含まれます。例えば、誰かが「最近、授業やバイトで疲れています」と話したとします。
このとき、「授業とバイトが忙しくて、疲れているんだね」と返答することで、相手は「自分の話がきちんと伝わった」と感じることができます。また、「それは大変だね」と共感の言葉を添えることで、相手はさらに安心できるのです。
傾聴を心がけることで、相手に「自分を大切にされている」という印象を与えることができ、友人や家族、職場の人間関係での絆が深まりやすくなります。忙しい生活の中でも、相手の気持ちに耳を傾ける姿勢を持つことが、理想的なコミュニケーションの第一歩となります。
相談者の心を開く質問のアプローチ
カウンセラーは、クライエント(相談者)の問題を深く理解するために、質問の仕方を工夫する必要があります。質問には大きく分けて以下の2種類があり、それぞれ特徴があります。
- 開かれた質問
相手が自由に気持ちや考えを話せるようにする質問です。たとえば、「そのとき、どんな気持ちだったんですか?」といった問いかけがこれにあたります。このタイプの質問を使うと、相談者が自分の気持ちや状況を詳しく伝えやすくなります。
- 閉じた質問
具体的な情報を得るための質問。「はい」か「いいえ」で答えられ、短い答えで済むものです。たとえば、「その症状はいつ頃から始まりましたか?」や「それは1日に何回くらい起こりますか?」といった質問が典型例です。
閉じた質問を使うと、必要な情報を効率よく引き出すことができます。
開かれた質問で相手の気持ちや考えを引き出しながら、閉じた質問で具体的な情報を補うことで、相談がスムーズに進みます。このバランスを意識することで、相談者の話を深く理解しやすくなります。
非言語コミュニケーションのコツ
非言語コミュニケーションとは、言葉以外の方法で感情や気持ちを伝えることを指します。表情、声のトーン、姿勢、視線などです。言葉だけに頼らず、相手がどんな気持ちでいるのかを非言語的なサインからも読み取ることが大切です。
同時に、自分がどのように見られているかにも注意を払い、穏やかで相手に安心感を与える態度を心がけましょう。友達が不安そうな表情をしているとき、「何か心配なことがあるの?」と声をかけると、相手は気持ちを話しやすくなるでしょう。
逆に、自分が険しい表情をしていたり、そっけない態度をとっていたりすると、話しづらいムードを与えてしまいます。こうした非言語的な要素は、相手との信頼関係を築く上でとても大切です。
非言語コミュニケーションを意識することで、相手の気持ちに寄り添うことができ、より深い人間関係を築く助けになります。普段の会話でも、相手の表情や声のトーンを注意深く観察し、自分の態度にも気をつけてみると良いでしょう。
「共感」と「受容」の実践ポイント
相手の気持ちや経験に共感し、否定せずにありのまま受け入れることが大切です。そんな姿勢を持つことで、クライエントは「自分のことを理解してもらえる」と感じ、安心して自分の気持ちを話せるようになります。
誰かが辛い経験を話しているときに、「それは本当に辛かったんだね」と、その人の感情を認めてあげることが共感。共感することで、相手は「自分の感情は大切にされている」と感じ、自己開示、つまり心の内をもっと話しやすくなります。
受容とは、相手がどんな感情を持っていても、否定せずに受け止めることです。たとえ話し手の感じ方が自分とは違っていても、「そう感じるのは自然なことだよ」と理解する姿勢が必要です。そのような態度は、相手が安心感を持ち、自己肯定感を高めるためのきっかけとなります。
カウンセリングの現場だけでなく、日常の人間関係でも共感と受容は役立ちます。友達や家族との会話で、「その気持ちわかるよ」と寄り添うことで、相手との関係が深まることを実感できるでしょう。
「気づき」を引き出す対話力
クライアントとの会話で、相手が話した内容に適切なフィードバックを返すことで、新しい気づきや視点を提供することができます。ポイントは、アドバイスを押し付けるのではなく、相手が自分で気づけるように促す形で伝えることです。
たとえば、「その気持ちには、過去の経験が関係しているのかもしれないですね」といった返し方をすると、相手が自分の心の中をもう一度見つめ直すきっかけになるでしょう。
このようなフィードバックを使えば、相手にとって無理のない形で新しい視点を提供できることができます。人と話をするとき、ただ「わかるよ」と共感するだけでなく、少しだけ深い質問やフィードバックを返すことで、会話の質がぐっと高まります。
相手が「自分をもっと知りたい」と感じられるようになると、信頼関係が深まります。気づきを促す言葉を意識的に使うことで、相手とのつながりがより強固になります。
沈黙を活かすコミュニケーション
面談中に沈黙が生まれることは、よくあります。しかしながら、そんな沈黙をおそれずに、ぜひ活用してください。沈黙は、クライエントが自分の気持ちや考えを整理するための時間になっているケースがあります。そのため、無理に話を続けようとする必要はありません。
カウンセラーが焦って話題を埋めようとすると、かえって相手の考えを中断させてしまうこともあります。むしろ、相手のペースに合わせて待つことで、信頼関係を築きやすくなるのです。
そんなスキルは、日常の人間関係や就職活動の面接で役立ちます。友達や面接官と話しているときに、沈黙が訪れても「気まずい」と感じて話題を無理に増やす必要はありません。
むしろ、相手の表情や反応を観察し、相手の言葉を待つ余裕を持つことで、深いコミュニケーションが生まれます。沈黙を怖がるのではなく、その意味を考えて上手に活用することが、コミュニケーション力を高めるコツになります。
相手に寄り添う適応力
適応力とは、相手の性格やニーズに合わせて柔軟に対応する力のこと。特に人を支援する立場にある人にとって欠かせないスキルです。一人ひとりは、異なる背景や価値観、そして状況を持っているため、同じアプローチがすべての人に効果的とは限りません。
適応力を身につけることで、相手の状況や性格に寄り添い、より良いサポートができるようになります。誰かが悩んでいるとき、ただアドバイスを求めているのか、それとも話を聞いてほしいだけなのかを理解することが必要です。
そのためには、相手の表情や言葉の裏にある気持ちを察したり、状況に応じた話し方をしたりすることが求められます。これが「適応的対応」と呼ばれるもので、柔軟なコミュニケーションを可能にします。
そんなスキルは仕事だけでなく、友人関係やグループでの活動にも役立ちます。相手に合わせた対応ができるようになると、より深い信頼関係を築くことができ、結果として自分自身の成長にもつながります。
適応力を磨くことで、人間関係がより豊かでスムーズになることでしょう。
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