公認心理師について:受験資格、業務内容を解説
2015年の9月に国会で公認心理師法が成立し、2017年の9月に施行されたことで、日本国内で唯一となる、心理職の国家資格である
公認心理師が誕生しました。
なお、臨床心理士は民間資格です。
第一回の公認心理師の国家資格試験は、2018年の9月から開始。
公認心理師は教育や医療、福祉、司法の現場で活躍。悩みを抱えている人を対象に、心理学の専門知識にもとづいて、カウンセリングをおこなったり、心の健康についての教育や情報発信をおこなったりします。
公認心理師は医療機関において、診療報酬の加算対象となっています。
目次
公認心理師の仕事内容
- 対話および心理アセスメントを通して、相談者の心理状況を分析します。
- 相談ごとに対して、アドバイスをおこないます。
- お困りごとがある関係者の相談に対して、アドバイスをおこないます。
- 心の健康に関する教育をおこないます。
- 心の健康にまつわる情報の発信をおこないます。
公認心理師の受験資格
公認心理師の資格を得るためには、1年ごとに1回実施される
公認心理師試験に合格する必要があります。一般的な受験資格は、以下の通りです。
- 区分A
4年制大学で指定の科目を履修し、かつ、大学院で指定の科目を履修する。
- 区分B
4年制大学で指定の科目を履修し、さらに卒業後、特定の施設で2年以上の実務経験を積む。
- 区分C
外国の大学において心理に関する科目を修め、かつ、外国の大学院において心理に関する科目を修了する。
公認心理師が働く分野
厚生労働省の
公認心理師の活動状況等に関する調査(2010年9月~12月)より参照
男性:26.2% 女性:73%
その他:10.8%
保健医療分野:全体の約30%
- 医療領域(約85%)
精神科病院:約30%、一般病院:約26%、精神科診療所:約23%、
一般診療所:約6%
- 保健領域(約15%)
保健所・市町村保健センター:約12%、精神保健福祉センター:約3%
保健機関では、公務員である精神保健福祉相談員として勤務します。
※精神保健福祉相談員とは
アルコールなどの依存症の相談や、ひきこもりの相談やサポートおよび、心の健康についての教育活動を行います。
- その他の領域(ごくわずか)
介護療養型医療施設、特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、地域包括支援センターなど
- 就業形態
常勤勤務:約56%、非常勤のみの勤務:約41%
- 業務内容
患者や相談者の治療面での不安や疑問を解消し、安心して治療に専念できるように相談を受けたり、心理的アセスメントをおこなったりする。
- 所属チーム
精神科医療チーム、発達障害への支援チーム、緩和ケアチームなど
- 平均月給
20~25万円
教育分野:全体の約28.9%
- 自治体の教育相談室や教育センター:約25%
幼小中高等学校スクールカウンセラー:約56%
大学等の学生相談室:約22%
- 就業形態
約3分の2が非常勤での勤務形態
平均時給:
5,500~6,000円
- 平均月給
20万円未満
福祉分野:全体の約21.3%
- 児童相談所:約17%、児童発達支援センター:約15%、
障害児通所支援事業所:約11%、
認定こども園、保育所、児童館など:約10%、
障害者支援施設など:約9%
- 児童相談所や児童福祉施設
不登校や虐待、障がいなどの子育てに関する相談に対応します。
- 障がい者の入所施設や相談機関
障がい者への心理査定および支援をとおして、障がい者および、その家族をサポートします。
- 平均月給
20~25万円
民間の相談機関、NPO、大学、研究所など:全体の約8.6%
私設心理相談機関等:約34%
大学などの附属の地域向け心理相談施設:約20%
大学・研究所など:教育・養成・研究:約41%
産業・労働分野:全体の約6%
- 企業などの組織内の健康管理・相談室:約50%
企業などの組織外の健康管理・相談機関:約34%
ハローワークなどの就労支援機関:約11%
障害者職業センター、障害者就業・生活支援センター:約5%
- 支援内容
職員のメンタルヘルスケア:約73%
職場復帰に関する相談・支援:約68%
自己や特性、疾病の理解をうながすカウンセリング:約64%
- 平均月給
30万円~35万円
司法・矯正分野:全体の約3.8%
- 少年鑑別所、少年院、刑事施設などの法務省矯正局関係:約38%、
警察関係:約18%、家庭裁判所などの裁判所関係:約17%、
保護観察所などの法務省保護局関係:約10%
- 支援内容
犯罪被害者や加害者の心のケアおよび、更生のためのカウンセリングを行います。
- 就業形態
常勤勤務が約73%