プレイセラピー[臨床心理士試験用語]はもともと、言葉ではじゅうぶんに自分の気持ちや考えを表現するには至らない、子どもに対して行われる心理療法の一種で、遊戯療法とも呼ばれています。
子どもたちは、「楽しい」と感じる遊びに、自然に没頭します。
ごっこ遊びやお絵かきには、心の中で感じている喜怒哀楽や願望、想像、見たり聞いたりしているなかでの世界観があらわれており、遊びはコミュニケーションの手段にもなります。
一方、11~12歳未満の子ども時代は、大人と同じようには、自分の状態や考えを言葉で具体的に表現することが難しく、認知発達が不十分な段階です。
プレイセラピーは、年齢や発達段階、知的水準および、個々のニーズに応じておこなわれる、遊ぶことや遊具を通して行われる心理療法です。
プレイセラピーが行われる場では、絵を描く道具や人形、積木、粘土などを、あらかじめ用意しておき、その中から、子どもが主体的に選んで、自由に遊びます。
表現されるものの中に、子ども自身の性格や、楽しさや苦悩、願望、人との関わり方のパターンが現れ、カウンセラーは子どもの遊び方や表現から、気持ちを読み取ります。
言語表現が未熟な子どもが、言葉の代わりに遊びを通じて自分の気持ちや考えを表現し、カウンセラーに受けとめられ、理解されることによって、自己成長力と創造性を育くみます。
プレイセラピーにおいては、カウンセラーが主導したり、コントロールしたりするのではなく、あくまでも子ども自身が遊び方を選ぶ必要があります。
カウンセラーは決して、「〇〇しなさい」「〇〇で遊ぼうよ」などと、指示をすることはありません。
自分の表現が肯定され、自分らしさが尊重されることで、子どもの自己表現力が豊かに育っていきます。
さらには、カウンセラーおよび保護者が、変わらぬ愛情で関わり続けることで、子どもに安心感が芽生え、人との絆や愛情を育むことができるのです。