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心理学の起源:
古代エジプトから認知心理学まで

心理学の起源:古代エジプトから認知心理学まで

現代と古代エジプトのイメージ
 
心理学の起源は [臨床心理士試験用語]、古代のギリシャおよびエジプトにさかのぼることができます。

科学としての心理学は、1879年にドイツの生理学者、哲学者、心理学者であるヴィルヘルム・ヴントが、世界初の実験心理学の研究室を、ライプツィヒ大学に開設したことに始まり、心理学の発展に大きな影響を与えました。

ヴントは1879年~1920年の間に、人の意識や感覚を内観法という手法で分析しました。

内観法:
実験室で被験者に一定の刺激を与え、その時の感覚や感情、思考などを報告してもらい、自身の心の中を観察することで、意識の内容や法則を調べる方法。

しかし、この方法は後に、
「人によって感じ方や考え方が違うことや、自分では気がつかないことがある」
「心の小さな部分ばかりに気をとられて、心の大きなまとまりや意味を見のがしている」

という問題点が目につくようになります。

それが後の、ゲシュタルト心理学や行動主義心理学の誕生へとつながるきっかけとなります。

自分の心の中にある感覚や感情を観察し、それらがどうやって形作られているかを調べます。

1890年代後半~1900年代初頭にかけて、オーストリアの精神科医であるフロイトは、ヴントの内観法から影響を受け、夢や自由連想を分析し、無意識の世界を探求する方法を考案。

無意識には抑圧された欲望や衝動が隠されており、人格の形成に影響を与えるとしました。

フロイトの精神分析学では、意識よりも無意識の働きに注目。

ヴントとフロイトの間には、心理学の目的や方法に違いや対立がありつつも、自己観察や無意識の探求という点で、共通の関心がありました。

心理学の起源:古代エジプト編

古代エジプトのイメージ
 
エジプトにおいて、紀元前3000年頃~紀元前1世紀頃の間、心や魂、精神力はカーと呼ばれていました。

カーは、人間だけでなく、神々や動物、植物、物体にも存在。

カーは生きている間、体に宿り、死んだ後は冥界に行くと考えられていました。

その頃の医師は、心や魂に関する病気や障害について、治療しようとしました。

紀元前1600年頃に書かれた、著者が不明である「エドウィン・スミス・パピルス」という医学書には、脳の損傷が言語や運動に影響することが、記されています。

心理学の起源:古代ギリシャ編

アリストテレスのイメージ
 
古代ギリシャでは、息や生命をプシュケーと呼び、やがて心や魂をも意味するようになりました。

紀元前6世紀~紀元前4世紀頃、ギリシャの哲学者たちは、プシュケーの本質や働きについて、哲学的な理論を提唱しました。

タレス、ピタゴラス、ヘラクレイトス、パルメニデス、ソクラテス、プラトン、アリストテレスなどの、名だたる哲学者が活躍。

なかでも、アリストテレスの著作「霊魂論」は、現代の心理学に大いなる影響を与えています。

アリストテレスは、プシュケーを植物的・感覚的・理性的な三つに分け、それぞれの能力や目的を持つかを説明。

また、感覚や記憶、思考などの心の機能についても、詳しく考察しました。

古代ギリシャの哲学は、後のキリスト教やイスラームの心論に影響を与え、今の心理学の基礎になっています。

アリストテレスの霊魂の3つの段階

アリストテレスとその他の人々のイメージ
 
アリストテレスは、霊魂を肉体と不可分なものとし、生き物の機能や能力として考え、それぞれの霊魂が持つ能力を、以下のように提唱しました。

  • 植物的霊魂
    成長や生殖のもと。
    生物の中で一番低いレベルの霊魂です。
    植物や動物、人間など、すべての生き物に共通して備わっています。
  • 感覚的霊魂
    目の前のものを感じることができる霊魂のことです。
    その特徴としては、目の前のものの形や色などを、そのものができている物質に関係なく感じることができるということです。
    たとえば、木の形や色を感じることができますが、木がどんな物質でできているかは感じることができません。
    五感や共通感覚、表象や記憶、欲求などが含まれます。
    植物にはなく、動物や人間に備わっています。
    五感:
    視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚のことです。
    共通感覚:
    体の位置や動き、温度、痛みなどを感じる感覚。
    表象:
    感覚や記憶に基づいて心に浮かぶ、イメージや概念。
    記憶:
    過去の経験や学習した知識を保持し、必要なときに思い出す能力。
    欲求:
    何かを得たいとか、したいとか、心に抱く願望や動機のこと。
  • 思考的霊魂
    心に浮かぶイメージや概念を超え、世界の法則や理性を理解することができる霊魂。
    理性と呼ばれ、人間にのみ特有な能力です。
    物事を客観的・論理的に考え、わかりやすく伝えるための思考。
    物事を具体的な事例や状況から離して、一般的な概念として考える思考。
    枠組みにとらわれず、新たなアイデアを生むための自由な思考。
    植物や動物にはなく、人間にのみ備わっています。

アリストテレスの諸能力

アリストテレスの能力のイメージ
 
アリストテレスは、プシュケーの諸能力である感覚や記憶、理性について、以下の通りに分析しました。

  • 栄養性
    植物や動物、人間など、すべての生き物に備わっている、成長や維持のために食物を摂取する能力。
  • 感覚性
    人や動物が外界からの刺激を受けて知覚する能力。
    五感(触覚、味覚、嗅覚、聴覚、視覚)や共通感覚(運動、静止、数量、形状、大きさなどを感じる能力)が含まれます。
    植物にはない能力です。
  • 欲求性
    人や動物が感覚によって快苦を区別し、快楽を追求する能力。
    食欲、性欲、社会的欲求など。
    植物にはない能力です。
  • 移動性
    一部の動物や人が自らの意志で場所を変える能力。
    歩行、走行、飛行、泳行など。
    植物にはない能力です。
  • 表現性
    人が自らの思想や感情を言語や身ぶりなどで伝える能力。
    話す、書く、歌う、絵を描くなど。
    植物や動物にはない能力です。
  • 理性性
    人が目や耳で感じたことや、心に浮かんだことだけでなく、目には見えない深いことや、どんなときでも変わらない物事を理解できる能力。
    物事を客観的・論理的に考え、わかりやすく伝えるための思考。
    物事を具体的な事例や状況から離して、一般的な概念として考える思考。
    枠組みにとらわれず、新たなアイデアを生むための自由な思考。
    植物や動物にはない能力です。

ゲシュタルト心理学について

星座と音楽のイメージ

ゲシュタルト心理学は1912年に、ドイツの心理学者であるマックス・ヴェルトハイマーによって創始されたと言われています。

ゲシュタルト心理学では人の心や感じ方を、小さな部分で分けて考えるのではなく、大きなまとまりとして考えます。

ゲシュタルトは、ドイツ語で「形」「姿」という意味。

ゲシュタルト心理学の視点で見ると、星座や音楽は1つの星や楽曲ではなく、全体としての形や意味になります。

ゲシュタルト心理学の代表に、仮現運動と群化があります。

ゲシュタルト心理学は、ヴントの内観法が持つ「心の小さな部分ばかりに気をとられて、心の大きなまとまりや意味を見のがしている問題点」に反して、全体としての形や意味に注目する考えを提唱しました。

  • 仮現運動
    実際には動いていないものが動いているように見える現象。
    たとえば、踏切のランプやアニメなど。
  • 群化
    たくさんの刺激を見た時。近接したものや似たものをひとまとまりにして知覚する現象。
    たとえば、黒い四角と白い四角が交互に並んでいる時、黒い四角のグループと白い四角のグループに分けて見ることができます。

行動主義心理学について

ウサギを見つめる少年のイメージ
 
1913年、ジョン・ワトソンはヴントの内観法に対する反論としての行動主義心理学を提唱。

心理学は科学であるべきだと主張し、心や意識を無視して、外側から観察できる行動だけを研究しました。

彼の有名な実験に、「アルバート坊やの実験」があります。

  • 実験の内容
    対象者は生後11か月の男の子で、アルバートという仮名をつけられました。
    アルバートは当初、白いネズミやウサギなどの動物に興味を示し、恐怖反応は示しませんでした。
    ワトソンは、アルバートに白いネズミを見せた後、その背後で鉄棒をハンマーでたたき、大きな音を鳴らします。
    音は、不快で怖いものでした。
    この手順を何度も繰り返すと、アルバートは白いネズミを見るだけで泣き出します。
    つまり、白いネズミに恐怖を条件づけられたのです。
    さらに、ワトソンは、アルバートに白いネズミ以外のものも見せてみました。
    すると、アルバートは毛皮のコートやサンタクロースのひげなど、白いネズミに似た特徴を持つものにも恐怖反応を示すようになります。 これは、一般化と呼ばれる現象です。

この実験から、恐怖という複雑な感情も条件づけられることを示しました。
さらに、恐怖は幼年期の経験に由来することを、実証したのです。

認知心理学について

心理学のイメージ
 
認知心理学は1950年代に、行動主義心理学に対する批判から発展しました。

ヴントの内観法と同様、心や意識を研究することが目的。

ヴントの内観法を引き継ぎつつ、方法を改良した学派です。

創始者としては、1967年に「認知心理学」を出版したアメリカの心理学者であるウルリック・ナイサーが、とりわけ有名。

認知心理学では実験法や計算機モデルの手法を用いて、何かを知ったり理解したりするプロセスを測定、分析、シミュレートし、思考や記憶、意思決定などの過程を解明しようとしました。

  • 認知心理学の実験法
    人の知覚、記憶、思考などを研究するために、心理学的な実験を行う方法。 以下のような実験があります。
    反応時間実験:
    刺激に対して、どれだけ早く反応するかを測定。
    何かを知ったり理解したりする速度や複雑さを推定するのに用いられます。
    記憶実験:
    記憶の種類や特徴を調べます。
    記憶の形成、保持、再生、忘却などの過程を検討します。
    言語実験:
    言語の理解や生成を調べます。
    言語の構造、意味、文脈などの要素を分析。
    プロトコル分析:
    課題を遂行する際に自分の思考を言語化して報告する実験。
    何かを知ったり理解したりする内容や過程を明らかにします。
  • 認知心理学の計算機モデルの手法
    人が何かを知ったり理解したりする機能を、コンピュータ上でシミュレーションする方法。
    以下のような手法があります。
    情報処理モデル:
    何かを知ったり理解したりする機能を入力、処理、出力の段階に分けてモデル化。
    何かを知ったり理解したりする流れや構造がわかります。
    コネクショニストモデル:
    心の働きをコンピュータでまねる方法の一つ。
    心の働きをコンピュータの小さなパーツがいっぱいくっついたものとして作ります。
    この方法で、パーツのくっつき方や強さが変化することで、新たな発見があります。
    ベイジアンモデル:
    心の働きをコンピュータでまねる方法の一つ。
    心の働きを確率で計算します。
    前に知っていることや見たことから、もっともなりそうな答えを探し出します。
    この方法では、わからないことや優れたことを確率であらわすことができます。
    ACT-Rモデル:
    何かを知ったり理解したりする際の多様性や個人差を表現します。
    人の心の働きをコンピュータでまねる方法の一つ。
    心の働きを脳や体のしくみにあわせたパーツに分けて作ります。
    この方法では、パーツによって違うことをしたり、パーツ同士で話したりすることで、心の動きをあらわします。


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