発達心理
:愛着形成・感覚運動期・基本的信頼感
乳幼児期の発達においては、
愛着形成・感覚運動期の発達・基本的信頼感[臨床心理士・公認心理師・産業カウンセラー試験用語]の3つの要素が大切です。これらは、健やかに成長していくための土台となり、今後の人間関係や自己肯定感に大きな影響を与えます。
- 愛着形成
親や養育者との間で形成される強い絆のことを指し、安心や信頼の源になります。愛着がしっかりと築かれると、心の安定が感じられるようになり、他者との関わりを持つことが容易になります。
- 感覚運動期の発達
生後から約2歳頃までの期間における発達段階を指します。この時期は五感を使って周囲の環境を探索し、動きを通して学んでいきます。感覚と運動を結びつけることで、少しずつ自分と外界との関係を理解していくのです。
- 基本的信頼感
乳幼児が周囲の人々や環境に対して抱く信頼のことです。信頼感がしっかりと育まれることで、新しい挑戦に対して積極的に取り組む意欲を持てるようになります。
愛着形成がもたらす安心と挑戦力
「愛着形成」とは、子どもが特定の人に対して感じる安心感や信頼感のことを指し、親や養育者との間で形成されます。乳児期の子どもは、抱っこされたり、世話をしてもらったりすることで、「自分を守ってくれる存在がいる」という安心感を得るようになります。
そんな経験を通じて、子どもは特定の大人と強い結びつきを持ち、この結びつきを「愛着」といいます。愛着は子どもの心の成長において、大切な役割を果たします。
安定した愛着を持つ子どもは、成長後も他者と安心して関わりを持つことができ、社会生活でも積極的に挑戦する姿勢が身につきやすいのです。
心理学者のジョン・ボウルビィは、愛着を「安全基地」と呼び、子どもが新しい経験や挑戦をする際の精神的な支えになると考えました。
ボウルビィの理論によれば、愛着の存在は子どもの自己肯定感や対人関係に良い影響を与え、安定した愛着関係を築くことができるのです。愛着は人生のさまざまな場面で、私たちを支える基盤となります。
ピアジェの感覚運動期理論
感覚運動期は、スイスの発達心理学者ジャン・ピアジェが提唱した概念で、生後から約2歳までの子どもが経験する発達段階です。この時期、子どもは視覚や聴覚、触覚などの感覚と、自分の体を動かす行動を通じて、周りの世界について理解を深めようとします。
最初は反射的な動きが中心ですが、成長とともに「自分が行動することで何かが変わる」ことに気づき始めます。たとえば、手を伸ばして物をつかむことで、「引き寄せると物が近づく」「動かすと音が鳴る」など、行動と結果の関係性を学んでいきます。
このプロセスを通して、子どもは次第に「物の存在が続く」こと(対象の永続性)や、因果関係の基本的な理解を身につけるようになります。このような経験が積み重なることで、やがて複雑な思考や問題解決能力の基礎が築かれていきます。
エリク・エリクソンの基本的信頼感
「基本的信頼感」とは、心理学者エリク・エリクソンが提唱した概念で、生後約1年半から2歳までの間に発達する感覚です。この時期、子どもは自分が「守られている」「周りの人が自分を支えてくれる」と感じるようになります。
基本的信頼感が育まれるためには、親や養育者が安定した愛情を提供する必要があります。
赤ちゃんが泣いたときにすぐに抱きしめてあげたり、お腹が空いたときにタイミングよく食事を与えたりするなどの対応を繰り返すことで、子どもは「自分は大切にされている」「安心していいんだ」という感覚を持つようになります。
こうした経験を通じて、子どもは信頼感を育み、周囲に安心感を持つようになります。基本的信頼感がしっかり育つと、子どもは大人になっても人間関係や新しい環境に対して前向きな姿勢で向き合うことができます。
逆に、信頼感が十分に育まれないと、不安や不信感が強くなり、人間関係に困難を抱える可能性が高まります。
感覚運動期と基本的信頼感
乳幼児期には、心理的な基礎を築くために「愛着」「感覚運動期の発達」「基本的信頼感」が大きな役割を果たします。
この時期に親や養育者と安心できる関係(愛着)が築かれると、子どもは「この人なら信頼できる」と感じるようになり、のちの対人関係に良い影響を与えます。
愛着がしっかり形成されることで、子どもは安心して周囲の世界を探索し、自分の体や周りのものについての理解を深めていきます。これは「感覚運動期の発達」と呼ばれるもので、視覚や触覚などの感覚を使い、世界に対する認識が高まっていく重要な過程です。
この時期には、「基本的信頼感」が育つことが大切です。基本的信頼感とは、「周りの世界は安心で、他人は信じられる」という感覚のことです。これがしっかりと身につくと、子どもは大人になってからも自己信頼が高くなり、他者との関係を築きやすくなります。
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