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フロイトの心理構造モデル
:イド・自我・超自我

フロイトの心理構造モデル
:イド・自我・超自我

おもちゃを欲しがる子どものイメージ
 
フロイトの精神分析理論では、心はイド・自我・超自我[公認心理師・臨床心理士・精神保健福祉士試験用語]という3つの要素で成り立っているとされています。

この3つの要素は、自分をどうコントロールし、他人と関わり、日常生活を送っていくかを理解するための「心理構造モデル」として提案されました。


  • イド
    欲望や本能的な衝動を司る部分です。快楽を追求しようとする強い力があり、子どものように自分の欲求を優先しがちです。

  • 自我
    現実と向き合いながら自分の行動を調整する役割を持っています。欲望をただ満たすのではなく、現実の状況を考慮して適切に行動しようとします。
  • 超自我
    道徳や社会的なルールを反映する部分で、私たちに「こうすべきだ」「これはダメだ」といった価値判断を与えます。

これら3つの要素は、しばしば対立し合いながらも、バランスを保つことで私たちの行動や思考に影響を与えています。フロイトの理論によれば、心の中でこれらの要素がどう調和するかによって、私たちの性格や行動が決まるのです。

本能に従うイド:原始的な力と行動

泣いている赤ちゃんのイメージ
 
イド(ID)は、「本能的な欲求」や「原始的な欲求」です。簡単に言えば、私たちが「欲しい!」と思う気持ちや、快楽を追求する心の一部です。例えば、お腹が空いた時の食欲や、何かに対する怒り、嬉しさなど、生きていく中で自然に感じる欲求が含まれます。

イドはとても強力で、時には理性を超えて行動しようとする衝動を引き起こします。「今すぐこれが欲しい!」と感じる気持ちは、まさにイドの特徴なのです。

イドは、生まれつき持っているもので、赤ちゃんが空腹で泣くのもその一例です。赤ちゃんは「後で食べよう」と理性的に考えることはなく、「今すぐ食べたい!」と感じ、欲望に従って泣いて伝えようとします。

イドは自分の欲望を満たすことを優先し、「快楽原則」に従って動きます。欲望を満たすために、周りの状況やタイミングをあまり考えずに行動しようとするのがイドの特徴です。

自我(EGO):欲望と現実の調整力

授業中のイメージ
 
自我(EGO)は「現実に対応する力」を持っており、欲望を現実的にコントロールしながら行動するための役割を担っています。

例えば、私たちの心の中にある「イド」は、「今すぐ欲しい!」と衝動的に反応します。一方、自我はそこにブレーキをかけ、「ちょっと待って、現実的に考えよう」と欲望を抑えて調整します。

たとえば、授業中に友達と話したくなることがありますが、自我は「今話したら先生に注意されるかもしれないから、授業が終わってから話そう」と判断し、行動をコントロールします。 このように、自我は現実の状況や環境を考慮し、「現実原則」に基づいて判断しているのです。

自我の発達は、年齢や経験によって異なります。成長や社会経験を通して自我が成熟することで、欲望と現実のバランスを取る力が強まります。自我はイドの衝動と現実の制約の間でうまく調整を行う「仲裁役」として機能するのです。

超自我:道徳心と良心のメカニズム

学校のイメージ
 
超自我(SUPEREGO)は「道徳的な良心」や「モラル」を表す心の部分。欲望に従おうとするイド(本能的な欲求)と、それを現実的にコントロールしようとする自我(現実と折り合いをつける部分)がある中で、超自我は「それは正しいか、間違っているか」を判断します。

言い換えれば、超自我は私たちの「良心」や「道徳心」としての役割を持っています。たとえば、試験中にカンニングをしようか迷ったとき、超自我は「カンニングは正しくないからやめよう」と忠告します。超自我があるおかげで、私たちは道徳や倫理を守り、社会のルールに従って行動することができるのです。

超自我は、生まれつき備わっているものではなく、家庭や学校での教育や社会での経験を通して徐々に発達します。これによって、私たちは「何が正しいか」「何が悪いか」を自分で判断し、欲望に流されずに自分をコントロールできるようになります。

イド・自我・超自我のバランス

ハンバーガーを食べているイメージ
 
心の中には「イド」「自我」「超自我」という3つの異なる役割を持つ要素があり、これらが協力し合って働いています。


  • イド
    本能的な欲望や衝動を追い求める部分で、例えば、食べたいものをすぐに食べたいと感じるような気持ちです。

  • 自我
    現実を見据えて物事に対応する部分で、たとえば、欲しいものを手に入れるためにはお金を稼がなければならないといった現実的な判断をします。
  • 超自我
    道徳的な基準を持ち、何が正しいかを判断する部分です。超自我は、自分がすべきことや社会のルールに従うように促します。

この3つのバランスがとれていると、心が健全な状態を保ちやすく、人間関係も円滑に築けるようになります。しかし、もしもバランスが崩れると、ストレスが生じることがあります。

超自我が強すぎると自分に厳しくなりすぎてしまい、心が疲れてしまうことがありますし、逆にイドが強すぎると衝動に振り回され、後悔することもあります。

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