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エリクソンの発達理論
:自己成長と他者理解

エリクソンの発達理論
:自己成長と他者理解

人が成長するイメージ
 
エリック・エリクソン[臨床心理士試験用語]は、フロイトのリビドー理論を基に、人がどのように成長し発達するかを8つの段階で説明しました。この理論では、赤ちゃんからお年寄りまで、人生のそれぞれの段階で乗り越えるべき「心理社会的課題」があるとします。

エリクソンは、それぞれの段階を乗り越えることで、よりポジティブな人生を育むことができると考えました。

幼児期の課題は「信頼」です。この時期に十分な愛情や安心感を得られると、他者や自分を信頼する力が育まれます。一方、課題がうまく解決されないと、不安や自己否定感が生まれ、後の人生にも影響を与えることがあります。

エリクソンの理論は、人生を成長のプロセスとしてとらえ、それぞれの段階での体験がその人の性格や行動に重要な役割を果たすと示唆しています。この視点は、自己理解や他者理解に役立ち、教育やカウンセリングの分野で広く活用されています。

エリクソンの理論を知ることで、私たちは自分自身の成長や他者との関わり方について、より深く考えるきっかけを得られるのです。

エリクソンの発達理論:最初の段階

笑顔な母と赤ちゃんのイメージ
 
エリクソンの発達理論では、人の成長は8つの段階を経て進みます。最初の段階は「信頼対不信」と呼ばれ、乳児期、つまり生後1年以内の時期にあたります。この段階で赤ちゃんが経験するのは、「周囲の人や環境に対してどれだけ安心できるか」ということです。

保護者が適切に世話をすれば、赤ちゃんは「自分は守られている」「安心できる場所だ」という信頼感を育むことができます。逆に、泣いても無視されたり、必要な世話がされなかったりすると、「自分は大切にされていない」と、不信感を抱くことになります。

この「信頼対不信」の段階は、将来の人間関係に大きく影響を与える重要な時期です。この段階で培われた信頼感は、成長してからの自己肯定感や、他者との関係性に強く関わるのです。

安心して周囲に頼る経験をすることで、人は他者と良い関係を築く基盤が整えられるのです。そのため、乳児期におけるケアが適切であることは、その後の人生においてもポジティブな影響を及ぼすとされています。

赤ちゃんの成長に欠かせない愛情

赤ちゃんにミルクを飲ませる母のイメージ
 
赤ちゃんは、自分では動いたり話したりできないため、家族からの愛あるサポートがとても必要です。赤ちゃんが泣いたときにはすぐさま抱っこしてあげたり、お腹が空いたときにはミルクをあげたりすることで、「自分は大切にされている」「大人は信頼できる」と感じられるようになります。

このような経験が、他者を信じる力や安心感を育てるために必要なのです。一方、周囲からの愛情が不足していたり、サポートが不安定だったりすると、「誰も信頼できない」と不安を感じるようになります。

このような不信感は、その後の人間関係や社会生活にも影響を与えてしまう悲劇をうみだします。人に対して心を開きにくくなったり、他者の善意を疑いやすくなったりするのです。

幼児期の自立心を育むサポート

靴を履いている子どものイメージ
 
次の発達段階である「自律性対恥・疑惑」は、幼児期にあたる大切な時期です。この段階で、子どもは自分の力でいろいろなことをできるようになり、自立心が芽生え始めます。

自分で靴を履いたり、着替えをしたり、簡単な手伝いをしたりすることで「自分にもできる」という自信を積み重ねていくのです。この自立のプロセスを大人が温かく見守り、適切なサポートを提供すると、子どもの自己肯定感はどんどん育まれます。

大人が「やってみていいよ」と許可し、成功体験を重ねることで、子どもは「自分はできる」という感覚を身に付け、自分を信じられるようになります。一方、もしも大人が過度に厳しくしすぎれば、子どもは「自分のやり方ではダメなんだ」と感じてしまい、自信をなくしてしまいます。

その結果、失敗を恐れて挑戦を避けたり、自分に対して「自分にはできないかもしれない」という疑惑や不安を抱いたりするようになり、恥ずかしさを感じやすくなるのです。

幼児期の自立を支援することは、その後の自己肯定感や社会的な適応力にも大きく影響するため、大人は適切な距離感でサポートし、子どもの「やってみたい」という気持ちを尊重する必要があるのです。

エリクソン理論でみる自己実現の道

ゴミ拾いのボランティアのイメージ
 
エリクソンの発達段階理論では、成長する過程で、段階ごとに異なる課題に取り組むことが大切であると考えます。

人生には「青年期」「中年期」「老年期」などのステージがあり、それぞれで異なる問題や悩みが生まれるのが特徴です。エリクソンは、こうした課題をうまく解決していくことが、将来の人間関係や自己実現に大きく影響するとしています。

エリクソンは、発達は子供から大人への成長で終わるのではなく、一生続くものだと考えました。例えば、青年期では「自分とは何か」を考えるアイデンティティの形成が必要。

一方、中年期になると、社会に貢献するための活動や人間関係が大切になります。そして老年期には、これまでの人生を振り返り、自分の生き方に納得できるかどうかが問われます。

エリクソンの理論を学ぶことで、今自分が取り組むべき課題が何かを知り、次のステップへ進むためのヒントが得られ、単なる心理学の知識だけでなく、自分の人生を見つめ直し、成長していくためのガイドにもなるのです。

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